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今日の一言

コンピテンシーについて

最近、コンピテンシーについてのご質問が多くなってきました。
人事の方からも、現場の方からも同じように質問が出てくるということは、それなりにコンピテンシーという概念が普及し、認知されてきたということかと思います。
一方で、肝心の質問の中身はというと、
「コンピテンシーは、わかりにくい。」
「そもそも、コンピテンシーって、何なんですか?」
と、どちらかといえば、否定的なニュアンスが多いのが現状です。
こうした質問をいただく方の多くが、ネットで、
『コンピテンシーとは』
というキーワードで検索し、その結果、
『高業績者に共通して見られる行動特性』
『成果につながる行動特性』
といった解説に出会っています。そして、そこから誤解が生まれているようです。
「コンピテンシーとは、高業績者の行動をモデル化して、それを凡人が真似すれば高い成果が出るという考え方だ」
と。

ネットで出てくる解説や定義が間違っているということではありません。ただ、ウェブサイトという限られた制約条件の中で、概要だけを述べようとするので、どうしてもつまみ食いになってしまう。
何事も「目的」と「用途」はセットですし、「目的」が変われば、「捉え方(定義の文言や説明のしかた)」もそれに合わせて変えたほうがいい。
上記の例で言えば、『高業績者の~』というコンピテンシーの定義は、その成立経緯や分析のしかたを説明するときには、最適化された良い定義だと思います。
『成果につながる~』のほうは、採用や評価の実務で実用化するときに、『高業績者の~』より違和感が生じにくい定義として使えるでしょう。
いずれも、『行動特性』というよりは、『思考および行動の特性』と言い換えると、もしかしたらもう少し違和感が少なくなるかもしれません。
このように考えると、コンピテンシーを短い言葉やイメージだけで説明しようとすると、どうしても相手のニーズや知識量によって誤解につながってしまうということがよくわかります。

そこで、このコラムの主旨目的とは異なってしまいますが、これからしばらくの間、このスペースを使って、『コンピテンシー』について順を追って説明していこうと思います。連載形式の『コンピテンシー研修』だと思って、お付き合いください。
タイムマネジメントやロジカルシンキング、業務改善など、業務系、現場系のコンテンツをご期待いただいているみなさまには、ご期待に沿えず申し訳ありません。が、コンピテンシーは単に人事のためだけのものではなく、むしろ業務の現場でこそ役立てられるべきものですし、不可欠ともいえる知識と技術です。ぜひこの機会にコンピテンシーの世界に足を踏み入れてはいかがでしょうか?

来週から随時不定期で連載を開始します。
今後ともお引き立ての程よろしくお願い申し上げます。