今日の一言

意識と行動は連動しない;

私たちは精神論が大好きだ。成果が出ていなかったり、ミスが多かったりしたときに、それがスキルや能力が不足しているせいではなく、「意識が低いからだ」と解釈することが多い。だから、「意識が高まれば、自ずと行動が変わるはずだし、行動が変われば成果が上がるはずだ」と、信じきっている。
その典型的な例が、ノー残業デーだ。残業ができないようにすれば、仕事を早く終えようという意識が高まり、意識が高まれば、様々な工夫をしたり無駄を排除したりという行動が発生して、業務が効率的になるはずだ、と、そんな安易な発想が見え隠れしている施策である。無駄や非効率が多いのは、意識が低いせいであって、能力やスキルが不足しているわけではない。そういう前提に基づいている。だから、業務改善の方法を提示したり、具体的な効率化の施策を打ったりというような、本来必要な検討を行うことなく、ノー残業デーを設定した後は、「個々人の意識と努力に委ねる」という、ほぼ丸投げ状態になっているケースが多数発生するのである。
女性やシニアの活性化についても、ほぼ同様のことが言える。意識を高めるために評価制度や報酬制度を変えるが、こうした人たちが活躍できるように業務そのもののあり方を見直すところまで辿り着かない。意識さえ高まれば、行動が付いてくる。全ての発想がそこからスタートしているのである。(結果、活躍している女性は、男性のように働ける女性であり、活躍しているシニアは若手に劣らないエネルギーとモチベーションを有している人となる。ぜんぜん多様化していない。)
意識が変われば行動が変わる。働き方改革を実現するためには、まずはこの発想を「迷信だ」と断定するところからスタートしなければならない。意識が変わっても、成果が出るとは限らない。簡単で、能力など必要ないレベルの取り組みなら、意識を変えただけで成果が出ることもある。それが通用するのは、せいぜい小学生までだろう。掃除をきちんとしましょう。交通ルールを守りましょう。早寝早起きを心がけましょう。しつけレベルのことなら、意識を変えるだけで成果が出る。
難易度の高い問題を解決し、成果を出すためには、問題を解決し、成果を出そう!という「高い意識」を持つ必要があることは確かだ。だが、それだけでは不十分なのだ。その意識したゴールを実現するための方法論が必要になる。それを考え出すための「知識・情報」と「思考力」が必要ということだ。それだけでもまだ足りない。そうやって考え出した方法論を、実行に移すためにはそれを可能にするための「リソース」が必要になる。時間や他者の協力、技術や資金、資材や設備など。そうしたものを調達するための「調達能力」が欠かせない。学習能力や折衝力、計画立案力やマネジメント力などの、実行系の能力だ。
「意識を変えれば、行動が変わる。」これは迷信である。もしそれを否定するならば、それは小学生レベルから成長できていない証だ。働き方を改革するために、私たちはまず大人にならなければならない。