2016.07.12
評価の意味を説明する;
おおよそ、企業の評価制度は絶対評価と相対評価の組み合わせになっていることが多い。一次評価は評価制度に定められた基準に基づく絶対評価、2次または3次で所定の母集団内における相対評価のが行われ、最終結果となる。
こうした制度になっていると、一般の(つまり人事以外の)管理職の多くから、同じような不満混じりの質問が寄せられる。
「こんな評価者研修を受けて、きちんと面談して評価をしたところで、どうせ上で調整・変更されてしまうのならば、意味がないのではないか?」
私も人事に関わる前はそう思っていたので、言いたいことは非常によく理解できる。これは評価制度の仕組みが十分説明されていないときに生じる不満なのだ。だから、このような質問にはこう答えている。
「評価を行うときに、部下の方に1次から2次、3次に至るまでの評価制度の目的や位置付けをはっきりと説明して、それぞれのステップでどのような評価結果になったのかを、きちんとフィードバックしてあげてください。」
一次評価とは、日々接している上司が、本人の業績や実力を、日々の事実関係に基づいて客観的に評価するものだ。だから、一次評価というのは人材の育成・開発に直結する。
「あなたの業績や実力がどう評価されたかを知りたければ、一次評価の結果を見てください。」
という、説明になる。
二次評価は、本来、評価者が被評価者を評価するものではなく、1次評価者の評価スキルを2次評価者が検証するものである。言い換えれば、1次評価結果の妥当性を検証するものだ。だから、2次評価が評価者会議の形態をとるケースも多い。ここで評価結果が修正された場合には、部下に対しては、
「ごめん。私の評価の考え方や基準の理解が間違っていた。」
と、素直に謝って、どのような基準で、どのような考え方で、1次評価の結果がどう間違っていたかを説明しなければならない。
3次評価(またはそれ以降)で相対評価による分布調整が行われたら、それについては、
「全体の中での君の実力のランキングだ。」
と、説明するか、もっと素直に、
「ここから先は、報酬金額を決めるための計算式なので、君の業績や実力といった事実関係とは考え方が異なる。自分が上司からどう評価されているのかは、2次評価の結果で見てくれ。」
と、明確に区分してあげたほうがいい。
絶対評価は、人材育成のため。相対評価は報酬金額決定のため。そう切り分けて考えたほうが、制度の運用も、部下への説明もしやすくなる。
自社の評価制度の意味合いや目的を十分に理解することが、評価という管理職の一大ミッションを確実に遂行するためには不可欠なのだ。