2020.02.18
実用編(1)業務分析 ②高業績者インタビューの進め方(つづき)
成果のつながりを整理したら、あとはそれぞれの成果につながった活動を行動発生過程に沿って整理していきます。
時系列でインタビューをしているはずですから、時間を追いながら、一場面ずつ(日付、場所ごとに)、分析を進めていきます。
前回の例で、一つ目のプロセスを見てみましょう。
【プロセス1 情報収集】
顧客からの『マネジメント力強化』に関わる研修依頼を、メールで受信した。
電話でやりとりをした結果、以下のことがわかった。
(1)研修の目的は中途社員の早期離職防止
(2)早期離職の原因は管理職のマネジメント不足という認識
しかし、これらの認識が事実かどうかは電話では確認できなかったので、とにかく企画書をもとに訪問して、事実関係を確認したほうが早いと考えた。
この事例で言えば、メールで受信して、電話をかけたのが同じ日、同じ場所でのことだったのならば、これは一つの場面とみなされます。
この場面について、動作レベルでインタビューした内容を、行動発生過程に沿って整理するわけです。その内容が以下のようなものだったとしましょう。
行動発生過程①
状況 : 研修依頼をメールで受信した。
意図 : プログラムを提案するためには、目的や課題を理解することが必要と考えた。
思考 : 特になし
行動 : とりあえず電話した
結果 : 上記(1)(2)という相手の認識がわかった
行動発生過程②
状況 : 上記(1)(2)は顧客担当者の認識にすぎないと考えた
意図 : 事実を知り、本当の課題が何かを知りたいと思った
思考 : 特になし
行動 : いつもやっているように、「たとえばでよいので、一例としてこんな問題が起きたことがあるという事例を教えてください」と要求した。
結果 : はっきりした事実が出てこなかった
行動発生過程③
状況 : 電話ではこれ以上のヒアリングをしても事実関係はわからないと思った
意図 : 価値のある効果的なプログラムを組むためには、顧客が抱えている課題を正確に理解することが必要だと思った
思考 : 一方で、あまりしつこく聞いても相手を不快にさせるし、相手はとにかく企画書を欲しがっている。まずは相手を満足させつつ、次につなげようと考えた
行動 : 企画書を作成するので、その説明と内容についての意見交換をするためにお打ち合わせの時間をいただけるように、お願いした
結果 : 快諾を得て、日時を決定した
こんな形で整理してみると、この場面だけでも、行動発生過程が3回転していることがわかります。
こんな形で、すべての場面を整理していったら、分析のための下づくりが完了したといってよいでしょう。あとは、最後のステップとして、この中から『価値あるコンピテンシー』を探し出していくだけです。(つづく)