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コンピテンシー実用講座

実用編(1)業務分析 ②高業績者インタビューの進め方(つづき)

前回記載したインタビューを、動作レベルに分解するインタビューに変換すると、どのようなやり取りになるのか。同じ事例で、例示してみましょう。

 

「それでは、その7月第一週の火曜日、大学の実験室でα基準値を算出したときのことを、思い出してください。その場面で、α基準値を算出するために、あなたはまず一番初めにどのようなことを行いましたか?」

このように、その場面でおこなった最初の行動を確認します。

「まず、大学の実験データがSYLKという特殊なデータ形式で、このままだとEXCELで使えないので、実験データをEXCELで使用できるCSVというデータ形式に変換しました。」

 

ここで注意しなければいけないのが、『動作レベル』という情報の具体性です。

SYLKというデータ形式をCSVというデータ形式に変換するというのは、「何をしたのか」という作業概要の説明です。この内容ではまだ『動作』を説明していません。動作レベルで再現できるというのは、以下のような具体性を意味します。

 

「SYLKをCSVに変換したというのは、あなたの動作、動きで言うと、どのような動きをしたのでしょうか?」

「動きですか? 動きで言うと、大学のPCの画面の右下隅に“SYLK→CSV変換”という四角いボタンが表示されているのですが、そこにこう……右手でマウスを動かしてカーソルを合わせ、クリックした、という動作です。」

 

いかがでしょうか? 頭の中に、映像でその人の動作がイメージできるレベルの具体性。その動作をやってみろと言われれば、再現することができる。これが動作レベルの具体性です。

このように、動作レベルで最初の行動が確認出来たら、その結果を確認します。

 

「それで、そのSYLK→CSV変換ボタンをクリックしたら、どうなりましたか?」

「画面上でシステムが勝手に動いて、しばらくしたらEXCELの画面が勝手に立ち上がり、A列に縦に数字がずらーっと並んでいるだけの画面が表示されました。この縦に並んでいる数字が、大学の実験データの数字です。」

 

これで、その場面の、第一行動とその結果が確認できた、ということになります。そのまま第二行動を聴きます。

 

「それで、その画面が表示されて、次はどのような行動をとりましたか?」

「また右手でマウスを動かしてA1のセルにカーソルを合わせてクリックした後、左手の人差し指と中指でCtrlと↓の2つのキーを同時に押しました。それで、データの一番下にカーソルが移動したので、その一行下に=SUM(A1:A……四十八万と……いくつか正確な数字は忘れましたが……要は、その一番下の行の数字をキーボードで打ち込んで、エンターキーを押しました。」

「それで、どうなりました?」

「これも正確な数字は思い出せませんが、28万何千という数字が表示されました。」

 

あなたがEXCELに詳しくて、データの合計を出したわけね、と理解できたのならいいのですが、もしこの行動と結果の意味が分からなければ、

「その、28万何千という数字は、どういう数字なのですか?」

とか、

「その、いまの作業とその数字はどういう意味なのですか?」

と、聴けばよいでしょう。そうすると、相手は、

「一番下のセルの行番号というのは、データが行番号1のセルから始まっているので、単純に言うと、データの数が48万何千だった、という意味です。

SUMというのは指定した範囲の合計値を算出する関数、コードなので、その28万何千という数字は、データの合計が28万何千だった、という意味になります。」

と、いった形で補足説明してくれるでしょう。そうやって理解できたら、次の行動に進みます。

「それで、データの合計が28万何千ということがわかって、次はどのような行動をとりましたか?」

「次は……」

 

このような形で、あとはα基準値が算出されるところまで、いっさい省略せず、ずっと行動と結果をつないでいきます。

 

いっさい“省略”せず、“動作”レベルで行動と結果をつないでいく。

長々と説明してきましたが、これが高業績者インタビューの進め方です。

 

この、高業績者インタビューの進め方は、じつは後日ご紹介する、『高度プロフェッショナル人財の採用』や『管理職の登用面接』など、業務分析だけでなく、人財マネジメントや業務マネジメントの様々なシーンでも必須の技術となっています。そうした用途、用法については、また後日記載していきますが、まずは、以下の要点だけは、現段階でしっかり押さえておくとよいでしょう。

 

1)成果を生み出した取り組みの、第一プロセスの、第一場面の、第一行動から、行動と結果を省略せずに、成果が出るところまで(=取り組みの終わりまで)聴いていく

2)一つ一つの行動と結果は、再現可能な具体性(=動作レベル)で聴いていく

 

次回は、インタビュー後の情報整理について進めていきます。