2017.06.13
心がけ:
期初に設定した目標設定について、第一四半期が終わったところでレビューをする。6月というのはそういう時期だ。単に達成したかどうかだけでなく、達成に向けてどのような取り組みを行い、それが効果的だったのか否かを検証して、上期末までの残り3ヶ月で、どうやって目標を達成するかを話し合う。
そういうフォローアップのコンサルティングをしていると、よく出会うのが今回のタイトルにも掲げた「心がけ」という言葉である。たとえば「積極的に顧客にアプローチすることを心がけた」といった文脈で出てくる。
私は精神論を否定するつもりはない。強い精神(思い)がなければ、高い目標は達成できない。しかしながら、この「心がけ」という言葉を使っている場合、得てして精神(思い)が弱いのではないかと思わざるを得ないケースが多い。具体的にいうと、「心がけた」という表現を使っている場合、本人が思っているほど行動していないケースが多いのである。
私たちは、心がけていれば自動的に自分が動いてくれると、妙な勘違いをしてしまうものらしい。だから、毎朝、朝礼で唱和していれば自然と意識が働いて、それなりに自分の体が行動してくれると思い込む。または、ノートに夢を100回かけば叶うというわけのわからない迷信を信じて、毎朝ノートに夢を100回書く。それで自分の体が「自動的に動いてくれる」と、期待しているのである。自分の内面のことなのに、不思議と他力本願としか言いようのないメカニズムがはたらいているのだ。目標設定だけでなく、企業理念や行動指針を書いたカードを社員に持ち歩かせている企業をよくみかけるが、これについても同じことだ。理念や指針を書いた紙を持ち歩けば、自然と意識がそちらに向いて、相応の行動をとってくれるだろうと信じている。しかし、そんなに都合よく人間は動かない。だから形骸化する。
「心がけ」がきちんと行動化されているかどうかを確認するのは簡単だ。毎日終業時に、その「心がけ」を「いつ、どこで、誰に対して、どのような形で実行したか」を、ノートに書いてみればいい。毎日、具体的な行動事実が紙に書けていれば、それは「心がけ」にとどまらず、キチンと行動化されているということだ。その内容が妥当なものであれば、求めた成果に近づいているだろう。もし、かなり行動していても成果が出ていなければ、試行錯誤を繰り返して、やり方を変えていけば、いつかはそれなりの成果が出る。企業理念や行動指針についても一緒だ。カードを持ち歩かせているだけでは、何の効果も期待できない。朝礼か夕礼で、「”顧客第一”という企業理念に合致する行動をとった人、その事例を発表してください」というように、全員でなくても発表させる。その発表内容が、理念や指針に沿ったものかどうかをキチンとその場でフィードバックする。そうやって、「心がけ」を「行動」に転換していくことが大切なのである。
「心がけ」ているだけでは、何も変わらない。言い換えれば、「心がけ」で終わっているのであれば、心がけていない人と何も変わらないのである。