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今日の一言

理性的とはどういうことか;

否定的ストロークの3条件という話をよくする。相手の言動を否定し、修正を促すときに3つの条件を満たさないと、相手が納得して受け入れてくれない(前始末まで含めると、5つの条件になる。詳しくは拙著『信頼関係と動機付けの基礎』をご参照いただけるとありがたい)。
その中の一つが「理性的」という条件だ。昔から「叱ると怒るは違う」と言われるが、まさにそれだ。この話をするとき、理性的という言葉を「自分の見せ方をコントロールできている状態」と定義している(あくまで研修の中での定義であり、一般論ではない)。相手に自分が怒っているように見せたいな、と考えて、怒っているように見せる。本当に怒っていてはこれができない。理性的の反意語を「感情的」としているが、これはそうやって、見せ方を計算せず、自分の心情をそのまま表に出してしまう状態としている。
クレームに対応するときに、こころから申し訳ないと思って、悲しそうな顔をして見せることが必ずしも良いとは限らない。こころから申し訳なく、悲しい気持ちになっていたとしても、状況によってはそうした悲しさよりも「これから挽回します!」という気合の入った様子を見せたほうが、相手のニーズに合致することも多い。そうやって考えて、悲しそうな顔ではなく、やる気のある顔を見せる。それができることを「理性的」と呼んでいるのである。
相手の立場に立って、いまこの場で、どういう自分の見せ方をするべきか。そういう視点でその状況を捉えることが、ビジネス・コミュニケーションの第一歩なのである。