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今日の一言

最初の一手;

仕事に手をつける時、まず一番はじめに、何から始めるか。動作ベースで言うと、どんな動作からスタートしているか。業務分析や人材評価を行う時に、必ず行う質問であり、着眼点である。最初の一手。そこから時系列で、動作ベースで、仕事をどのように進めていくのかを確認していく。もちろん、動作だけではない。その動作に至る思考プロセスも念入りに聞き取っていく。そうやって業務プロセスや人材の分析を行っていくと、より少ない資源で、より高い成果を出す人には、共通点が見えてくる。言い換えると、無駄が多く、その割に高い成果を出せない人にも共通点が出てくる。最初の一手が、その後の成果を左右するといっても過言ではない。そのくらいのインパクトがある。その、成果を出すために有効な最初の一手とは何か? それが今回のテーマである。
どんな仕事でもいい。あなたが仕事をする時、いったいどんな一手からスタートしているだろうか? たとえば、なんらかの書類を作れというような作業でもいい。または、新たな顧客やマーケットを開拓しようといった、もう少し概念的なテーマでもいい。それを行うにあたって、まず、いちばんはじめに、どんな動作を行うだろうか?
上記のような分析を様々な職種、様々な業種で行なってきた中で、気がついたのは、意外と当たり前のことである。最初の一手が『情報収集』から始まると、高い成果とその再現性が確保されているケースが多いということだ。こうやって文章を入力しながら、我ながら「なんだ、当たり前のことじゃないか」と思う。だが、その感覚が落とし穴なのだ。意外と、この情報収集というプロセスを踏まない人が多いのである。いや、むしろ踏まない人の方が多い。なぜか。
情報収集という動作を具体的にいうとどんな感じかを考えていただくとわかる。たとえば、研修の相談を受けたとしよう。新入社員向けに、ロジカルシンキング研修を1日でやってほしい。そういうオーダーだったとする。この時、情報収集から始めるということはどういうことか。二つある。一つは、「顧客に聞きにいく」という情報収集だ。提案の前に、まずはニーズを聞きにいく。当たり前だ。ところが、意外とこの「提案の前に聞きにいく」という動作ができない人が多い。なぜか。「手ぶらで訪問することはできない」と考えるからだ。そういう人は、「なんでもいいから、何か提案を作って持っていくところから始めたい」と考える。ところが、顧客のニーズを情報として持っていないから「複数パターン持って行けば、お客様が選べる」といった思考になっていく。こうやって、何度か行ったり来たりしているうちに、他社に持っていかれたりする。仮に取れたとしても、無駄が多い(ニーズにあっていない複数の提案書を作るのに、時間も紙も無駄にする)。
もう一つの情報収集は、「いままでにどんな提案書があっただろう?」と、過去のペーパーを検索し、見直してみるという情報収集である。同じような仕事をしている同僚がいるならば、その同僚はどんな提案書を作ってきたのだろうか、という情報収集だ。もちろん、使えるものがあれば、流用する。それをちょっと修正するだけで済ましたり、場合によっては、まるまるパクる。これも、意外と多くの方が「よくない仕事の仕方だ」と考えて、毎回ゼロベースで頭と時間を使って作るほうがいいと、積極的に情報収集を拒むケースが多い。価値観と合理性を天秤にかけて、価値観を優先するタイプだ。それで高い成果が出るならいいが、結果的に出来上がったものは「いつもとたいして変わらない」というものだったりする。同じ人が考えたものだから、当たり前といえば当たり前である。同じものになるのなら、過去の自分のアウトプットを流用したほうが効率がいい。変化や成長を意図するなら、積極的に他者の提案書を取り入れてみたほうがいい。
ロジカルシンキングの研修でも強調していることだが、必ずアウトプット(結論)にはインプット(根拠、情報)が必要だ。インプットが不足した状態で、どんなに考え抜いたとしても、まともな結論、成果には繋がらないのである。仕事の最初の一手は情報収集。これを押さえるだけでも、仕事の成果や効率に大きな変化を生み出すことができるのだ。