2017.02.14
仕事に自分を合わせる;
時々の仕事に自分をうまく適合させていくために、私がよく使うフレームワークがある。縦軸に成果志向性(より高い成果を求めるorより確実性を求める)、横軸にプロセス志向性(方法論の選択を行うときに、合理性を重視して意思決定するor関係者との合意形成が可能かを重視する)というマトリックスになっていて、その合わせ技で求められるビジネススタイルを表現している。例えば、一定期間内に目に見える成果を挙げなければいけない業務改善のコンサルティングであれば、「より高い成果を求める」成果志向性と、「合理性(=論理的に正しい=成果が出る)重視」のプロセス志向性を兼ね合わせて仕事をする自分が一番いい。一方で、人事制度構築のように、自らの手を離れた後の運用のほうが重視されるようなプロジェクトでは、人の人生を左右する仕組みであるから「確実性重視」の成果志向性と、「合意形成重視」のプロセス志向性を併せ持った自分である方が好ましい。もちろん、こうした取り組みで確実性と合意形成ばかり考えていては仕事が進まないから、「成果志向性は6:4で確実性重視、プロセス志向性は7:3で合意形成重視」のように、微妙な加減を考えて、「よし、こういう自分で取り組もう!」と意識的に自分のビジネススタイルを調整する。
これから期末に向かっていくので、新入社員の配属や昇格審査、来期の採用などの議論で忙しくなっていく時期だ。こうした議論では、「適材適所」や「向き不向き」といった言葉が議論の停滞を招くケースが多い。やらせたこともないのに「実績がないから向いてない」とか、「こういうタイプだから向いてない」とか。しかし、実績はやらせてみなければついてこないし、タイプというのは上述のように、本来は自分でコントロールすべきものである。「私はこういうタイプで、それ以外にはなれない」と思い込んでいる人も結構多いようだが、その思い込みが本人のキャリアを狭めていく原因にもなる。
もちろん、本質的な自分というものは変えにくいのかもしれない。しかし、しょせんビジネスである。人生を変えろと言っているわけではなく、その仕事をやっているときだけ、その仕事に合わせて自分を変えるだけの話だ。そういうスパンでなら、自分は変えられるし、調節できる。やってみる前から向き不向きなど気にせず、その仕事の特性を冷静に考え、そういう仕事にはどういう自分で取り組むべきかを考える。異動や配属、担当替えなどがあった時には、好き嫌いや向き不向きといった、中途半端な印象論でとらえず、まずは「その仕事をする自分」をデザインするところから始めてみてはどうだろうか。