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今日の一言

能力を発揮するまでのプロセス;

自分を育成するにも、他者を育てるにも、その現状を正確に理解できないと、育て方を間違える。
能力発揮のプロセスが、何らかのフレームワークで整理されていると、その分析がしやすくなる。
コンピテンシーのレベル尺度を説明するときによく使うのが、行動発生過程という着眼点だ。

状況認識→意図の形成→方法の思考→行動への移行→結果発生(=状況変化)

何か行動を起こすには、状況認識が必要だ。上司から仕事を与えられる。あこがれるような職業に出会う。顧客からクレームが持ち込まれる。そうやって、状況を認識すると、我々は自動的に意図を持つ。その状況をこうしたいと。意図の持ち方は様々だ。すごく高い意図を持つ人もいれば、低い意図を持つ人もいる。意図の持ち方は、動機づけや状況に対する関心の高さが反映される。意図の持ち方が決まれば、おのずとそれを実現するための方法論を考えるというプロセスに移行する。時には、意図を持ったまま、ここで停止してしまうこともある。方法を考え付くと、それを行動に移す。もちろん、移さずにここで終わることもあるだろう。行動に移すと、結果が出る。結果というのは良くも悪くも状況変化だ。だから、その結果の在り方に納得できなければ、状況認識に戻って、再度意図の形成に入る・・・これを繰り返しているのが、私たちの日常だ。

自分がうまく成果を出せない時、またはうまく成果を出せているときに、このプロセスのどこが原因になっているのかを振り返ると、適切な育成方針を導きやすい。上流の状況認識が間違っている相手に、「論理的思考力研修」を勧めても、あまり意味がない。方法の思考まで完璧にできていて、行動に移すところで止まってしまう相手に、上流の対策を打っても効果は期待できない。昨今はやっている「グリッド(やり抜く力)」というのもそうだ。一見、下流の「行動」のところが重要に見えるキーワードだが、実はその本質は上流の「状況認識」の持ち方と、「意図の形成」の仕方にあると考えたほうがよいだろう。小学4年生に勉強をやり抜かせようとして、一番難しいのは、「なりたい職業」や「行きたい学校」という強烈な意図を形成させるのが難しいからだ。

どこを鍛えるべきか。育成方針を設定するには、まずはプロセス分析から始める必要がある。