2016.11.01
100の方法よりも:
とある研修の後、「若手の報連相が、すごく良くなった」という嬉しいフィードバックをいただいたので、コラムを一つ。
その研修では、研修直後にも多くの受講者から「あれが一番納得できました!」とか「目からウロコでした!」と、かなり明確な反応をいただいていた。報告・連絡・相談のための研修の、割合で言えば、1日研修の中のほんの5分に過ぎない。
「報告・連絡・相談って、何のために必要だと思いますか? 目的はたくさんあると思いますが、その中で最重要と考えられるものを、一つ選んで、グループごとにホワイトボードに書いてみてください。」
と、問いかけた。
『状況を正確に理解してもらうため』
『問題を解決するため』
『情報を共有するため』
などなど、それらしいものがたくさん出てきた。最近の新入社員はとても優秀だ。だけど、肝心のものが出てこない。出てこないのが普通だ。その立場にならなければわからないことなのだから。
私が提供した答えは、
「どれも大切な目的だと思いますが、かつて新入社員の上司だった立場から言わせていただくと、なぜ上司が報連相を求めるのかというと、不安だからです。」
そう言って、私はホワイトボードに、
『相手を安心させるため(不安にさせないため)』
と、書いた。基本的に、上司は新入社員がいろいろなことをまだ上手くできないと思っている。だから、何をさせるにも不安。その上司に、今こんな具合で進んでいますよ、とか、こんな感じでやってるけど、間違ってませんか?とか、そうやって今の状態を開示し続けることが、不安の解消につながる。相手がお客さんや取引先など、外部の人でも一緒だ。責任や影響の大きな仕事ほど、相手は常に不安だ。だからこそ上手くいっている時も含めて、不安がないということを確認したい。
こうした趣旨のことを話したら、冒頭のような反応となって返ってきたのである。
100の方法を教えるよりも、重要かつ本質的な一つの目的を与えること。その重要性を体感した出来事だった。