2016.08.30
「経験」のメリットとデメリット:
どこの現場でも「経験」を重視するケースが多い。中途採用でも「経験」を要件に入れた募集をよく見かける。
しかし、「経験」にはメリットもデメリットもあるので、注意したほうがいい。「経験」は想像力を補完する。私たちは類似の経験と照らし合わせながら、予想したり想像したりするので、経験があればあるほど、より的確な予測・想像を得やすい。ただし、大きな環境変化がなければ、という限定条件が付く。過去の経験が通用しないような環境変化があれば、経験は足かせにしかならない。なぜならば、私たちは無意識に、経験に照らし合わせて解釈するし、経験に当てはまらないような事象でも、無理やり経験に合うように解釈して理解しようとするからだ。
業務や人事に関わるコンサルティングをしていると、「経験がないからできない」という場面が驚くほど少ないことがわかる。むしろ、経験のない人が、今まで誰も気が付かなかったような問題を解決したり、無駄を発見したりといった場面をよく見かける。また、ある仕事で鳴かず飛ばずだった人材が、まったく未経験の仕事に就いた途端に、飛躍的に成長するといったケースも枚挙にいとまがない。
未経験の仕事をさせるというのは、上司としては度胸がいるし、最初の非効率も覚悟しなければならない。本人も気が進まないことが多い。しかし、あえて様々な仕事にチャレンジさせていくことで、新たな刺激やイノベーションを生み出していかないと、企業も職場も停滞していく。部下も成長しない。
「経験」を軽視しろとは言わない。が、あまりこだわりすぎないほうがいい。これは、自己開発においてもそうだ。自分が得意だと思っていること、自分が多く経験していて専門分野だと思っていること。そういうことにこだわりすぎると、キャリアを失っていく可能性が高くなる。常に何割かは新たな挑戦を入れていったほうが、キャリアアップには有効だ。