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コンピテンシー実用講座

(5)コンピテンシー分析の基礎 ⑤コンピテンシーレベル3

<レベル3>

 

レベル2の説明でご紹介したように、何の波風もたっていない平常時であれば、特に思考や工夫を凝らす必要がありません。蓄えた知識をそのまま適用して、いつものように仕事を進めれば成果が出ます。

 

レベル3は行動発生過程の『思考』から下を、自らの力で行えるレベルを指します。

思考が必要な時とは、レベル2との対比で言えば、何らかの波風が立ったときです。

問題が起きる、いつもとは違う条件を求められる、または、いつもとは違う成果を求められるなど、知識を適用しているだけでは成果が出ない状況。そこで、そうした問題を乗り越えるために、思考が求められます。

 

レベル1、レベル2と、レベル3の間には、実は大きな断絶があります。

レベル1やレベル2は、行動発生過程の上流部分、つまり状況を認識し、意図を形成し、方法を考え出すところは、完全に他人任せですし、上流部分を知らなくても発揮できます。方法さえ知識として記憶していれば、その背景を知らなくても発揮できるのです。下流だけで仕事をしている状態。それがレベル1とレベル2です。

 

ところがレベル3はそうはいきません。正しく『思考』し、正しい方法論を『判断』するためには、行動発生過程の上流部分を自ら理解できていなければなりません。

「今は、こういう状況で、通常とはこの条件が異なっているんだな(状況認識)。」

「この状況では、このくらいの成果を出せばいいだろう(意図形成)。」

と、いうように、状況とゴールを正しく認識できていなければ、正しい『方法』を考え出したり、判断することができません。どんなに考える力が高くても、状況やゴールを見誤ってしまったら、正しい解答には到達できないのです。

 

つまり、レベル1、レベル2は、行動発生過程を自力で完結できず、下流部分だけを機械的に実行しているレベルであるのに対して、レベル3は状況認識から方法の実行までを自己完結的に行い、成果を出せるレベルなのです。行動発生過程を自らの力で、完全に回せている。

このレベルに至ってはじめて、

「この人は、成果の再現性が高い。」

と、いう評価になります。問題や異常があっても成果を出せる。この人なら安心して仕事を任せておいても、キチンと期待通りの成果を出してくれる。何か問題があっても、きちんと対応して、成果を出すところまで期待できる。

 

成果の再現性という視点で人財を評価するならば、この3つの尺度で完結します。

レベル1は、指示で動く人。具体的な指示がなければ成果の再現性がない。(成果の再現性=ゼロ)

レベル2は、知識で動く人。平常時であれば、成果の再現性が期待できる人。(成果の再現性=低)

レベル3は、思考で動く人。問題や異常があっても、成果の再現性が期待できる人。(成果の再現性=高)

 

なお、レベル3の人は、状況認識や意図形成から自発的に行うことができますが、あくまで、

「正しく理解できている。」

と、いうレベルです。状況認識や意図形成をゼロベースで自らできているということではなく、状況認識については、

「事実関係を正しく理解できている。」

と、いうレベルですし、意図形成についても、

「周囲の期待を正しく認識していて、それを自らの意志で目指そうとしている。」

というレベルです。

この、状況認識や意図形成を、自らゼロベースで行い、そこで差別化できる……つまり上流部分で差別化を図っていける……人財が、ハイパフォーマーと呼ばれる人たちです。それがまさにレベル4、レベル5という領域になっていきます。

レベル3までは、「成果の再現性」の高さを表す尺度。

レベル4、レベル5は、「高い成果」の再現性を表す尺度。

 

次回は、レベル4の定義を紹介していきます。