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今日の一言

他の人の視点に立つ;

 タイトルの言葉はいろんな場面でよく使われるし、よく聞く言葉だが、今回の想定シーンとしては「イラッときたとき」である。私は非常に短気で怒りっぽい。過去にそれで失敗したことも一度や二度ではない。だからこそ「イラッときたときにどうすればいいか?」というのは、新入社員のころから一貫して最重要課題となっている。業務分析やハイパフォーマーインタビューをしていても、このテーマが出てくると、仕事そっちのけで掘り下げてしまう。
 その「イラッときたとき」対策のうち、自分にとってかなり有効だったのが、タイトルの「他の人の視点に立つ」というアプローチである。たとえば、自動車の運転をしているとき。目の前をちょろちょろと走る自転車がいる。まっすぐ走る技量がないのか、ふらふらと蛇行気味に膨らんでくる。対向車の隙を見て、ようやく追い抜きに成功したと思ったら、信号待ちの間に横をすり抜けていく。しかもその時に私の車のドアミラーに軽く接触していく。まさにイラっとくる瞬間である。これを制御しないと、クラクションを鳴らしたり、窓を開けて怒鳴りつけたくなるわけである。しかしそれはトラブルのもと。自重しなければならない。
 こういう時は、一呼吸して、他の人の視点に立ってみるのである。昔はよく「相手の立場に立ってみろ」と言われたものだが、私はそこまで人間ができていない。なので、相手ではなく、自分の「イラッ」に共感、同調してくれる人の視点に立つ。たとえば、この場合であれば、後ろのドライバー。バックミラーで顔を見る。私と同じように不機嫌そうな顔をしている人もいれば、意外とご機嫌に歌を歌っている人もいる。ご機嫌な人は無視。で、不機嫌そうな人がいたら、その人の目から見えているであろう風景を思い浮かべてみる。私の車のテールがあり、その前を自転車がふらふらと走っている。そうだよな。後ろの人もイラッとしているだろうな。で、彼(女)から見れば、「そんなやつ、早く抜けよ」と、私に対してもイラッと来ているんだろうな、とか。さらに、自分の前を走る車のドライバーの身にもなってみる。大きく自転車をよけて抜いていった。ホッとしてるだろうな。ところが信号が赤になった。左にぎりぎり寄せて停車している。今度こそ抜かせないようにと、考えたのかもしれない。ところが、自転車はそういうときだけ歩道に上がって抜いていく。うわ~、かなりイラッときてるだろうな。
 こうやって、自分よりイラッとしていそうな人を見つけると、不思議と私の「イラッ」が軽減される。もちろん個々の性格にもよるだろう。私がそういうタイプだというだけの話かもしれない。が、昔から「人の不幸は蜜の味」と言うではないか。蜜の味で自分のイラッが少し弱まる感じ。
 だから、相手が自分以上にイラッと来ていそうなときには、「相手の視点」にもなってみる。私にとってその代表となる対象は自分の子供だ。勉強を見ているときに、明らかにやる気を見せない。手を抜いたり、適当にこなそうとする。それを見ると、「オレがせっかく見てやっているのに」と、イラッと来る。だけど、うちの場合、あきらかに子供の方が「イラッ」の度合いが大きい。ほぼキレている。さすが私の息子。なので、相手の視点に立ってみる。自分が小学生で、親に強制的に勉強させられている。遠い過去の記憶なども思い出しながら、「そりゃ、イラっとするよな」と思いつつ、あの頃の親の視点にも立てるので、今の自分の「イラッ」がおさまっていく。
 よく、怒りを感じたら6秒待て、と言われる。この6秒で何をするかが問題だ。このテーマで悩んでいる人は「自分よりもイラっときている人の視点にたってみる」というアプローチを試してみてほしい。