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今日の一言

スタイルはそれぞれ:

社内講師養成など、プレゼンテーション研修のお話が増えている。
そこで私が必ず主張するのは、誰もが同じようなプレゼンテーターになる必要はないという点である。
プレゼンテーションというと、多くの人が同じような先入観を持っているような気がする。
「早口は良くない」
「堂々と、滑舌良く話をしなければならない」
「資料はほどよく図表を入れて、パッと見てわかりやすいものを」
などなど。だけど、そんなプレゼンテーションを拝見するケースはほとんど無いと言ってもいい。実際、長年にわたってプレゼンテーションを商売にし、それで曲がりなりにも生計がたっている私だって、これらの条件を満たしているかというと、そうでもない。たとえば、私はかなりの早口だ。プレゼンの資料も、よほどの必要性がない限り、図表を用いない。活字だけの資料である。
プレゼンテーションが苦手だと言って相談に来る方の多くが、このステレオタイプというか、「プレゼンはこうあるべき」という思い込みに陥っていることが多い。その方のスタイルや特徴が、このステレオタイプに合っていないだけなのだ。スポーツに例えるなら、160cmちょっとしかない私が、ダンクシュートができないからバスケが難しいと言っているようなものだ。
だから、私がプレゼン研修で強調するのは、それぞれの特徴や得意、不得意を考慮し、それを活かしたスタイルを作り上げていくことの大切さである。たとえば、早口というのは意外と治しにくいケースが多い。その対策は簡単。「止め」「溜め」をちょっと長めにとる。ただそれだけでいい。早口の問題は、聴き手の脳みその情報処理スピードを上回ることだ。なので、ばーっとしゃべったら、相手の脳みそが追いついて来るのをちょっと待つ。そんなイメージ。これだけで、「早口でわかりにくい」というマイナスが、「熱心で前向きなプレゼンテーション」というプラスに変わる。声が小さく、話すスピードの遅い人が、私と同じスタイルのプレゼンを目指してもうまくいくわけがない。そうではなく、その特徴を生かして「受講者に親身に語りかける、丁寧な講師」というスタイルを作り上げたほうが近道だし、多分そのほうが売れる。
そのほかにも、体格や姿勢、滑舌が良い悪い……など、治しにくい(または治せない)ことをマイナスからプラスに転換する方法はいろいろある。べつに知識やスキルとして確立されているものではない。その特徴をどう活かすかというのを考えて、対策を打つ。言ってみれば単なる問題解決に取り組むのである。
プレゼテーションの「型」を身につけるという暗記スタイルではなく、考えて自分のスタイルを作り上げる。プレゼンテーションだからと言って、その他のビジネススキルと別枠にして特別扱いする必要はない。
スタイルはそれぞれで良いのである。